スパッタリングおよびプラズマプロセス技術部会(SP部会)
平成26年度第1回勉強会
パルススパッタリングの利点と欠点 ―放電原理,プロセス安定性,薄膜構造の徹底的理解―


 一般社団法人日本真空学会スパッタリングおよびプラズマプロセス技術部会では,平成25年度より新たにSP部会
勉強会を開催しております.SP部会勉強会の主旨は1つのテーマをトピックスとして論文紹介や研究紹介によりラウ
ンドテーブル方式で議論をおこない,そのテーマを深く掘り下げて勉強していこうということにあります.
第3回目の勉強会として,工業的スパッタリング薄膜堆積において広く使われているパルススパッタリング法を取り
上げます.パルススパッタリング法は,反応性スパッタリング法における異常放電抑制および薄膜堆積速度向上の方
法として1980年代後半に開発され,SP部会が主催するISSPにおいても1995年から2001年までを中心に広く議論されて
きました.電源や電圧印加方法に改良が重ねられ,現在ではITO薄膜堆積をはじめとして工業的に多く利用されてい
ます.また,一方HiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)法が1999年に発表され,スパッタリング法
の新たな可能性として議論されています.パルススパッタリング法の特徴は,化合物堆積におけるプロセス安定性向
上および薄膜堆積速度向上にあります.また,同時に,特にHiPIMS 法においてはスパッタリングされた粒子のイオ
ン化率が高く,かつそのエネルギーが大きいことにより薄膜構造の制御が可能であることも特徴として挙げられます.
いずれの特徴もパルス放電形態,あるいはパルス放電におけるシース幅およびシースポテンシャルの変化によるもの
です.しかしながら,パルススパッタリング法において特にプロセス安定性および薄膜物性に大きく影響すると考え
られるパルス放電の工学的利点と欠点が十分に理解されているとはいえません.
本勉強会においては,パルススパッタリング法における放電形態,シース変化,粒子エネルギー,薄膜構造,そして
薄膜物性などについて学び,パルススパッタリング法の工業的応用展開に向けての理解を深めていきます.

日  時:平成26年11月14日(金) 14:00〜17:00 (受付 13:30〜)
                14:00〜16:00 ラウンドテーブル勉強会
                16:00〜17:00 懇親会・自由討議

場  所:金沢工業大学東京事務所会議室 東京都港区虎ノ門3-17-1 TOKYU REIT虎ノ門ビル6階
      http://www.t-build.com/build/tr/
      注)従来の赤坂から移転しました.最寄駅:神谷町(徒歩1 分)

話題提供・コーディネーター:金沢工業大学高度材料科学研究開発センター 教授 草野 英二

参加費(資料代・消費税を含む):
    スパッタリングおよびプラズマプロセス技術部会会員:無  料
    日本真空学・日本真空工業会会員:         3,000円
    一般:                      5,000円
    学生:                      1,000円
        ※人数を限っての開催となります.お申込は事前に行ってください.
         なお,SP部会会員を優先とさせていただきます.

申し込み先:一般社団法人 日本真空学会 事務局
       E-mail:ofc-vsj@vacuum-jp.org TEL:03-3431-4395 FAX:03-3433-5371

勉強会内容:
 ■パルススパッタリング法とは?

 ■パルス放電の特徴とは?

 ■パルス放電におけるシース変化とプラズマポテンシャル変化は?

 ■パルススパッタリング法における堆積粒子のエネルギーの大きさは?

 ■パルススパッタリング法により堆積された薄膜の特徴は?

  ◇主な紹介文献
   1. G.Bräuer, J.Szczyrbowski, G.Teschner, “Mid frequency sputtering- a novel tool for large
     area coating,”Surf.Coat.Technol. 94?95,658(1997)
   2. Kouznetsov, Karol Macák, Jochen M. Schneider, Ulf Helmersson, Ivan Petrov,“A novel 
     pulsed magnetron sputter technique utilizing very high target power densities,” Surf. Coat.
     Technol. 122(1999)290.
   3. J.W. Bradley, H. Bäcker, P.J. Kelly, R.D. Arnell, “Space and time resolved Langmuir 
     probe measurements in a 100 kHz pulsed rectangular magnetron system,” Surf. Coat.Technol. 
     142-144(2001)373.
   4. A.Anders, “Fundamentals of pulsed plasmas for materials processing”, Surf. Coat.Technol. 
     183(2004)301.
   5. R.D. Arnell, P.J. Kelly, J.W. Bradley, “Recent developments in pulsed magnetron sputtering,”
     Surf. Coat.Technol. 188(2004)158
   6. U. Helmersson, M. Lattemann, J. Bohlmark, A.P. Ehiasarian, J.T. Gudmundsson, “Ionized physical
     vapor deposition (IPVD): A review of technology and applications”, Thin Solid Films 513(2006)1.
   7. J. Bohlmark, et al, “The ion energy distributions and ion flux composition from a high power 
     impulse magnetron sputtering discharge”, Thin Solid Films, 515(2006)1522. 
   8. G. Bräuer, B. Szyszka, M. VergÖhl, R. Bandorf,”Magnetron sputtering - Milestones of
     30 years,” Vacuum 84, 1354(2010)